親から受けた影響を、消し去ることに躍起になっていた時期があった
何が悪いというわけではない
一言でいうなら、苦手
そんな彼らの感性の下で育ち、知らず知らずのうちに私の体に染み込んだ、彼らの色のようなもの
それを脱色しきって、ネイキットな自分を取り戻す――私の遺伝子に本来プログラムされたはずの、自分らしい自分――になることに、躍起になっていた時期があった
6,7年前のことだ。2006年前後は、私を取り巻くすべての関係を断ち切って、自分を社会的に抹殺することによって、生きているのに死んでいるのと同じ状態にすることを求めていた
友達がいない、知人がいない、親兄弟がいない、幼なじみもいない、そんな自分で、私は安定していた。猫と、夫と、小説、それだけが世界のすべてだった
それから何が変わった?
何がは、変わった
でも、ぜんぜんダメなんだ
幼いころのトラウマが、かつてのままの姿形で、今なお私の心の中のいちばん重要な部分で、息をひそめているから
私自身が、気づいていなかったんだ
それがトラウマであることに
暴力、貧困、性、いじめ、それらのどれとも私は無縁だった。なのに、幼い私が見つめた世界のみじめさ、不安定さ、いごこちの悪さ
私にとって、大人になるということは、幼い私が感じた不幸を、自分の腕一本で取り除いていく過程だった
表面的には、それらはうまくいった
でも、まだ、本当は、ぜんぜんダメなんだ
心の奥底の柔らかいヒダの中に、きつく凝り固まった部分があって、そこが、つっかえている
ここが、私自身が招く不幸の元凶だという、明確な予感がある
ここを解きほぐす
それが、今、必要なこと