受験生だった頃の私が見た教室の風景は、訓練された兵隊を連想させた。同級生はみな紺色の制服を着ていて、一心不乱にノートを書き写していた
そんな世界になじむことは、私自身を穢すことだと思った
受験するのであれば、私を変容させなければならなかった
拒否するか、適応するか、悩んだすえに、私は適応を選んだ
やりたいことが他になかったのだ
そもそも、私にも未来の生活があるなんて、うまく想像できなかったし、うまく想像できないもののために大多数と違う行動をとる気にもなれなかった
そうして私は、多くの人々が入学したいと望む大学に入った
最初からあきらめていた通り、心を動かされる同級生なんて一人もいなかったけれど、さっさと単位をとって、普通に卒業した
新卒での就職活動には、さすがに全然適応できなかった。自分を変容にも限度があり、どの大企業にも入りたいと思わないのに、時間と金はかけられなかった。どうでもいい社名が、それからの私の看板になっていくなんて、反吐が出るにもほどがあった
で、自然な流れで独立して働くようになった
私がたどり着いたのは、受験生だった頃の私が危惧していたような、訓練された兵隊と同じ世界ではなかった。少し外側の、彼らと距離を取っていられるギリギリの場所に、今の私がいる
いったい私は何と戦っていたのか
いったい私は何と戦っているのか
① 自分の中に、いつだって理想の自分がいて、その人と戦っている。その人がみっともないと思うことを、私がやることに関して、多大な決心を要している気がする
② 他人からどう見られるかについて、無性に気にしている自分がいる。私は、いつだって、他人より上に立ちたいと思っていて、そうできない自分を隠そうとしている気がする
①のほうが重い
②は、決心の問題
①は、私の存在の問題