感じのいい女の人に、感じのいい笑顔を向けられた私は、
彼女にふさわしい、感じのいい笑顔を返す
でも
彼女に背を向けたとたんに、彼女から逃げる
猛烈に、走って逃げ去りたい
彼女のさわやかさを、私は恐怖している
同時に、そんな自分を自己嫌悪している自分を感じる
自分を恥じている
自分を隠さなければならない
だから逃げ去るのか
彼女は、今日はじめて見つけた素敵な店の素敵なウェイトレスで
私がこれからその店に通うようになると、彼女は私を覚えるようになり、より親しみをこめた態度で私に接してくるのだろう
それが私は怖い
そういう他愛のない場所で、他愛のない人間関係を結ぶことが、怖い
これまでの私が徹底的に拒否してきたこと
何度も同じ場所へ行くことを避け、新しい場所を探し続けるか、さもなければ絶対の安全地帯である家の中にひきこもってきた
それでいいのかな
でもそれも窮屈なんだ
なによりも孤独だ