人間が嫌いなんです

人間嫌いのルール 03

漠然と、後世に残る小説が書きたいと思っている
書けないはずがないと思っている

小説家になりたい、というのとは、少し違うのだ
小説家とは、小説で生計をまかなう人
でも、私はただ、後世に残る作品が書きたい

小説家が書いた小説が、世の中に評価されて、後世に残るのが普通だから、そこを分けて考えることに無理はある

でも、しょうがないんだ
私の心が言っている
私は小説家には、なりたくない

小説家になるということは、売れるもの書くということ
読ませる技術をそこかしこにちりばめた、サービス精神旺盛な作品を書くということ
他人に優しい作品を書くこと
他人から好かれる作品を書くこと
書きたくなくても書くこと

そういうの、無理だ

私の小説を読んだ人は、私の作品の中にある、読者に対する媚の部分を嫌がる
1つの作品の中に、媚と芸術性という異質なものが混在していて、うまく入り込めないから、芸術性の部分だけを抽出して、高めたものが読みたいと言う

何年も前から指摘されていたことだ
私のほうが、準備できていなかった

私は、ずっと、ずっと、長い長いあいだ、嫌悪感を我慢して、小説家になろうとしていた
矛盾にまみれて、のろのろと重い足を引きずって歩いていた

でも、もう、やめる

私は後世に残る作品が書ければいい
それで今、食べていけなくてもかまわない
ただ、自分が美しいと感じる作品が書きたい