人間が嫌いなんです

人間嫌いの生き方 02

ひとみしりはしない。子供の頃から。

知らない人が怖いという感覚よりも、初めて会ったこの人は、どういう人なのだろうという興味のほうが先に立った。

大人になってからは、そういった興味が薄れる代わりに、初対面の人が私に対して見せる緊張を、ほぐしてあげたいという衝動が強くなった。ーー怖がらなくていいの。私はあなたに対して緊張しないし、あなたも私に対して緊張しないでほしい、とばかりに。

ゆえに、初対面の人は、私に対して良い印象を持つ。こんなにうちとけて話したのは初めてだとか、学生の頃以来だとか言い出す人までいる。

問題は、その後。一晩寝ると、私はもう逃げ出したくなっているということだ。

ただ、逃げたい。
ふり返らず全力疾走したい。

つまり、たぶん、ひとみしりというのは、他人とつながりたいという正当な欲求を持つ人が保有する、正当な感覚なのだろう。初めて会ったこの人に、自分はどこまでこころを開けるのか、推し量るのに必要な時間が、ひとみしりの時間。

つまり、他人にこころを開くという概念がない人にとっては、不要な時間。

さいしょはそれでもいい。

たいていの人が、第一印象では、私を好むから。

でも、そのうち、だめになる。

第一印象の私が、私ではないことに、すぐに気づく。

しばらくすると、私はとってもフレンドリーだったくせに、実は誰との関係も求めていないことに気づく。

求めたいのに、求めることができない。
私はさみしいくせに、誰かとうちとけあうことが、いやでしょうがない。

そういう自分のことは責めないことに決めた。

ただ、まだ、生きにくい。