高校1年生の時、国語の授業で魯迅の「帰郷」を読んで、漠然と、将来こういう小説が書きたいと思った。
今書こうとは思わなかった。だから文学を学ぼうとも思わなかった。ただ、将来のいつの時点からか、私は小説を書き始めると思った。私が死んだ後もこの世に残り、語り継がれる名作を書くことが私の人生の目的となった。それはごく当たり前のこととして、いつかかなえられることだと思った。
大学の学部は文学とは関係がないし、選んだ職業も、まったく関係がない。しかし、小説を書きたいという気持ちは、いつだって私の傍らにあって、それは幼い頃からまとわりつく自殺願望と同じくらい消えようのない気持ちだった。
自殺と小説は、私の中ではセットであり、いつか名作を書くことができない自分について考えると、恐ろしいような気持ちになる。私は、ただの私になり下がってしまうのだ。ただの私という生命にすがって、ただ生きている、その自分のみっともなさに、愕然とさせられる。
でも、たぶん生きていくのだろう。